重要事項説明

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●重要事項説明書「宅地建物取引業法第35条」

宅地建物取引業法第35条では、宅地建物取引業者は、物件を取得しようとする者や
借りようとする者に対して、契約が成立するまでの間に、取引主任者の記名押印の
ある書面を交付し、物件に関する重要な事項を説明しなければならないとされています。

また、宅地建物取引主任者は、説明をするときに、その相手方に対し取引主任者証を
提示しなければなりません。このように、宅地建物取引業法では、不動産の契約前に
重要事項を説明する義務が有ります。

この重要事項の説明は宅地建物取引業法第35条で定められています。
ここでは、重要事項説明書に出て来る用語のうち、主なものを解説いたします。

【取引態様】

取引態様とは、その不動産取引が売主なのか仲介なのか等を示すものです。
売買の売主となっていたら不動産業者が自ら販売している物件です。
仲介(媒介)となっていれば、不動産会社が売主と買主の間に入って取引の斡旋を
するものです。

一般的には、不動産を売りたい方が不動産会社と媒介契約を交わし、不動産会社が
売却の斡旋をします。そして取引が成立すると売主・買主は不動産会社に仲介手数料
を支払います。

【供託所等に関する説明】

宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所の供託所すなわち、法務局・地方
法務局または出張所に供託し、その供託書の写しを、免許を受けた建設大臣または
都道府県知事に届出なければならず、この届出をした後でなければ、その事業を
開始してはならない事になっています。
(宅地建物取引業法第25条1項、4項、5項)

本店1つにつき1,000万円、支店1つにつき500万円という額になりますが、なぜ、
営業保証金の供託を義務化しているのかというと、不動産取引は高額ですから、
取引において、万が一、売主・買主が損害を被った時に供託金の中から弁済出来る
ように備えなさい!という意味もあります。

【不動産の表示】

不動産の表示は、売買対象不動産の所在・地番・地目等の記載で、建物については、
所在地・種類・構造等が記載されます。例えば、売買対象の土地が、畑になっていたら、
その土地にはすぐに住宅を建築する事が出来ません。住宅を建築するためには、
市町村の農業委員会に農地転用の許可申請を提出して許可を得なければなりません。

土地や建物の登記簿の謄本は、表題部・甲区・乙区で構成されています。
表題部は不動産の表示に関する事項、甲区は所有権に関する事項、乙区は所有権以外
に関する事項(抵当権、地上権、賃借権、地役権等)が記載されてます。

乙区に記載があれば、所有者が金融機関からお金を借りていて物件が担保に入って
いると考えられます。

抵当権等がついたままの物件を引き渡す事はできないため、この場合、不動産の売却
代金で借入れを抹消するなどの手続きが必要となります。

所有権にかかる権利関する事項は、所有権移転の仮登記・買戻し登記等が現在、
抹消されていない場合に記載されます。例えば競売による差し押さえを受けた場合、
甲区覧に「競売による差し押さえ」と記載されます。

【第三者の占有について】

第三者の占有とは、所有者以外の第三者が不動産を利用している状況を指します。
例えば、競売物件の落札により所有者が変わってしまったが、まだ元の所有者が
住んでいる状況も第三者の占有ですし、一戸建てを第三者に賃貸している場合も
第三者の占有に該当します

都市計画法・建築基準法等の法令に基づく制限の概要

【建ぺい率・容積率・高さ制限】

購入不動産がどの用途地域に該当し建ペイ率・容積率の制限値等を調査報告します。
この法律の趣旨として、敷地いっぱいに建物が建つと火災の時に燃え広がる危険が
ありますし、隣地に高い建物が建つと、日当たりに影響が出るため、建築基準法で
このような規制が定められています。

建物の高さの制限には、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、絶対高さの制限、
日影規制があり、用途地域によって制限が異なります。これは、建物を建てる時に、
高さの制限(決まり)を設ける事で日当りを確保するための法律です。
市役所の都市計画課・建築指導課等で確認できます。

住居系地域で1:1.25、住居系以外の地域で1:5とかいう数字が出てきますが、
実際は、採光や道路復員、建物の敷地からの後退距離等も考慮して高さ制限を計算
します。

【都市計画道路等について】

購入しようとしている土地に計画道路や事業計画等が無いかどうかを記載します。
計画道路があった場合、建築制限があり目的の建物が建築出来なかったり、
周辺環境も今まで静かだったのに、道路が出来る事によって騒音の心配が出てきたり、
周辺環境が変化するため、買主にとって重要だからです。

【道路の種類について】

建築基準法第42条の適用区域は、都市計画区域内となります。
都市計画区域外の場合は、道路の種類の規定は適用されません。

「42条1項1号」
道路法による道路で、原則として幅員4m以上のものをいう。一般的には公道を指します。
「42条1項2号」
都市計画法・土地区画整理法・旧宅地造成事業法・都市再開発法・新都市基盤整備法・
大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法による道路を指します。
取引でこの道路に当たる事は滅多にありません。現在のいすみ市周辺では該当しません。
「42条1項3号」
建築基準法第3章が適用されるに至った際、現存する道路。
「42条1項4号」
道路法・都市計画法・土地区画整理法・都市再開発法・新都市基盤整備法・大都市地域
における住宅地等の供給促進に関する特別措置法による新設又は変更の事業計に画の
ある道路で、2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの。
「42条1項5号」
土地を建築物の敷地として利用するため、上記の方法によらないで道を築造しようとする
者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの(位置指定道路)
建築基準法第42条2項:4m未満の道路。

【私道に関する負担等】

私道に関する負担等に関する事項では、購入不動産に私道負担が有る場合の面積と、
負担金の有無を調査します。分譲地の場合、接道部分が建築基準法第42条1項5号
(位置指定道路)の形態に見受けられます。
なお、書式によっては、復員4m未満の道路でセットバック部分が発生する場合にも
「私道負担有(セットバック部分約○○㎡)」と記入します。

敷地と道路との関係は、上述の接道部分の権利形態や道路の種類又、接道状況を調査
する項目です。

都市計画法・建築基準法以外の法令に基づく制限の概要

都市計画法・建築基準法以外にも、様々な法律があります。購入する物件が、
それらの法令に該当する場合には、重要事項で説明します。

建物についての石綿使用調査の記録に関する事項

アスベストを使用した記録が有る場合は「有」、無い場合は「無」、分からない場合は
「不明」と説明します。姉歯一級建築士による耐震偽造事件の後に重要事項説明に
加わりましたが、石綿(アスベスト)の使用が禁止されたのは平成16年10月で、
それ以前は屋根スレートや外壁内等に普通に使用されていました。

新築時の図面類を見ても分からない事もあります。ただし、建材に含まれるアスベストは
繊維が固定されているため、日常生活の中では飛散する事なく、健康に被害を及ぼすもの
ではないと言われています。

建物状況調査の記録(既存住宅のとき)

これは平成30年4月の宅建業法改正で、重要事項説明に追加となりました。
既存住宅技術者が行なう建物調査実施の有無について説明します。建物調査をしているか
いないかを説明すれば良く、調査自体が義務というわけではありませんが、買主の購入の
意思判断にも影響しますし、引渡し後のトラブルを避けるためにも建物調査をされた方が
良いと思います。

既存住宅技術者による建物調査は、当社売主の中古住宅では、法改正の1年前から取り
組んでいました。引渡し後の瑕疵を巡るトラブル防止以外にも、築20年超の建物でも
登記費用・不動産取得税等の軽減、住宅ローン減税や住まい給付金の対象にあるため、
買主にとってメリットがあるためです。

しかし、建物調査には費用がかかります。一般個人の売主さんで建物調査に協力して
くれる売主さんはほとんど居ません。いすみ市周辺では、建物状況調査を実施している
不動産会社の方が少ないのが現状です。※令和元年現在

飲用水・ガス・電気の供給施設及び排水施設の整備状況

飲用水は公営水道なのか井戸なのか、公営水道の場合、前面道路に何mmの水道管が
敷設されているか。万一、前面道路に水道管が敷設されていない場合、敷設工事に
どの程度の工事費を要するか(負担金の有無)などを記載しています。
公営水道の調査では、水道局や役所の水道課で、水道配管図等により確認しています。

排水(汚水・雑排水)施設の整備状況では、公共下水なのか、浄化槽なのか、
宅内排水を放流するための側溝があるのか等調査します。宅地内に公共下水桝がある
場合にはその負担金等が納入済みであるか否かも確認します。

ちなみに、いすみ市の場合、下水が整備されていないため、浄化槽によって汚水や
雑排水を処理して側溝に放流するのが一般的ですが、浄化槽にも種類があります。

「単独浄化槽」・・・各家庭の汚水と雑排水を別々に処理するもの。
「合併浄化槽」・・・各家庭の汚水と雑排水をまとめて処理するもの。
「集中浄化槽」・・・複数の住宅の汚水・雑排水をまとめて処理するもの。

浄化槽を新設する場合、その放流先の流末や負担金等を市区町村の下水道課などで
確認します。

契約の解除に関する事項

売買契約締結後に、売主・買主が契約を取り消したい!と言って来た場合や、ローンが
通らなかったり、天災地変で建物が全焼・半焼した場合の取り決めが記載されています。
契約の解除と言っても、大きく分けて4つのパターンがあります。
①手付解除、②契約違反による解除、③融資利用特約、④引渡し前の滅失・毀損、
⑤瑕疵担保責任による解除。 以下、それぞれについて解説します。

①手付解除

売買契約後、売主・買主の一方から「契約をやめたい」と言われた場合の取り決めです。
売主から契約を止める場合、原則として、預かった手付金を買主に返還し、同額の手付金
を買主に支払う事で契約を取り消す事が出来ます。
これは手付けの倍返しとも言われています。買主から契約を止める場合は、預かった手付金
を放棄する事で契約を止める事が出来るのが原則です。ただし、履行に着手した後は、
手付けによる解除は出来なくなります。※契約違反による解除の所で説明します。
ただし、宅地建物取引業者が売主の場合には、手付解除の期限を定めることは出来ません。

②契約違反による解除

売買契約後、売主・買主の一方から契約をやめる場合、手付解除により契約を解除
できます。しかし、いつまでも手付解除ができるわけではなく、宅建業法上、
履行に着手するまでは契約を解除できるとされています。

履行に着手とは、売主・買主が契約行為に着手する事で、たとえば所有権移転登記の
手続きや住宅ローンの融資手続きなどです。融資が承認になった後で契約を辞めたい
となると手付金だけでは現状回復が困難であるため、このような規定となっています。

その他、「売主が所有権移転登記に協力してくれず決済が出来ない」なども契約違反
に該当します。

③融資利用による特約

融資利用の特約とは、不動産の購入にローンを使う場合に、万が一、融資が承認になら
なかった場合には、買主さんに何のペナルティもなく契約を白紙に戻す事ができる
という特約です。

ローンが承認にならなかった場合にまで、ペナルティがあるとすると、買主に不利益に
なる為、この場合は無条件解約が適用になります。

住宅ローンの融資項目や融資予定額を明記することで、売買契約書第14条(融資利用
特約)が適用となります。

審査が通らなかった場合のトラブルを避けるために、「○○銀行○○支店」のように金融
機関名を明確に表示すると共に、融資非承認の場合の契約解除期日を決めておきましょう。
契約前に事前審査を通しておく事で、ローン非承認のリスクを最小限に減らす事ができます。

万が一、融資承認予定日が予定よりも延びる場合は、「融資非承認の場合の契約解除期間
延長の覚書」を交わしておいた方が良いでしょう。

④引渡し前の滅失・毀損

これは、売買契約後、引渡しまでの間に、大地震や火災で建物が滅失・毀損してしまった
場合の取り決めです。

この場合、建物が毀損した場合は、売主が補修して引き渡すのが原則ですが、建物自体が
滅失して無くなってしまったり、毀損が激しく、契約の目的を達する事ができない時は
契約を無条件で白紙に戻す事ができる事になります。

⑤契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)による解除

契約不適合責任とは、契約に基づいて引き渡された目的物が、種類・品質又は数量に
関して契約の内容に適合していないことを指します。
例えば、「引渡しを受けた建物の土台や柱が腐っていた場合、引渡し後に雨漏りや白アリ
被害が発見された場合、排水放流先をU字溝と説明したら実は浸透式だった」などです。

契約不適合箇所が発見された場合、通常は「補修請求、代金減額請求」となりますが、
説明の内容に乖離がある場合などには「契約解除請求」も可能です。

しかし、雨漏りや建物の傾きなどの欠陥があれば、何でも瑕疵に該当するわけではなく、
雨漏りがある事を告知した上で、周辺相場より安く販売するようなケースは契約不適合
には該当しません。

経年劣化による不具合がある事を前提とした売買価格である事の説明を受けている場合も
契約不適合には該当しません。これらが通るのであれば中古住宅の売買が成立しなくなる
からです。

また、不動産会社が売主の場合と、売主が不動産業者以外の一般仲介の場合では、
契約不適合責任期間も異なり、中古住宅と新築住宅の場合でも異なります。

宅建協会の書式では、売主の契約不適合責任期間は、売主が不動産業者以外の場合、
2ヶ月から3ヶ月、不動産会社が売主の場合は2年以上の期間となります。新築住宅の場合
「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」について、10年間となり、
中古住宅よりも基準が厳しくなります。
なお、構造耐力上主要な部分として政令で定められているものは、住宅の基礎、基礎ぐい、
土台、壁、柱、小屋組、筋かい、方づえ、火打材など、建物の自重や振動・衝撃を支える
部分です。(住宅の品質確保等に関する法律 第5条参照)

手付金等の保全措置の概要(宅地建物取引業者が売主の場合)

宅建業法では、完成物件の場合、手付金が売買代金の10%、かつ1000万円を
超える時、未完成物件の場合、手付金が売買代金の5%、かつ1000万円を超える
時には、手付金の保全措置を講じて下さい。という規定があります。

保全措置の対象となる手付金等とは、売買契約締結日から引渡しまでに支払われた
代金充当金です。代金充当金には、申込証拠金・手付金・中間金・内金等の名義を
もって授受される金銭で、売買代金に充当されるものです。

保全措置を講じなければならない期間とは、買主が不動産の所有権移転登記または
所有権保存登記がなされるまで講じておかなければなりません
(宅地建物取引業法第41条)。

これには、不動産の取引きにおいて、万が一損害が発生した場合、不動産会社が
供託所(東京法務局)に供託している供託金1000万円の範囲で賄う事が出来なく
なる場合には、買主の不利益にならないように手付け金の保全措置を講じて下さい
という理由もあると思われます。

保全措置にはつぎの3つの方法があります。

①指定保管機関による保管

売主である宅地建物取引業者に代わり保管機関が手付金等を預かり、万一の時には
保管機関が買主に返還します。売主である宅地建物取引業者と指定保管機関が、
手付金等寄託契約を結びます。

②金融機関による保証

売主である宅地建物取引業者が銀行(銀行・信託会社・信用金庫等の金融機関または
建設大臣が指定する者)との間で、保証委託契約を結び、売主と銀行等が連帯して
保証するものです。

③保険会社による保険

売主である宅地建物取引業者と保険会社が保証保険契約を結び、買主に生じた損害を
保証するものです。

ちなみに、通常は買主から上記の額を超える手付金を受領した事はありませんし、
当社でも創業以来一度も手付金の保全措置を講じる場面に遭遇した事はありません。

割賦販売に係る事項

割賦販売とは、買主が売買代金を数回以上に分けて売主に支払う形式の契約です。
ちなみに、住宅ローンを使う場合は、割賦販売には該当しません。

宅地建物取引業法第42条では、割賦販売契約で、買主による不払いが発生した場合は、
30日以上の相当の期間を定めて、書面による催告をしなければならないとされています。
不払いを理由としての契約の解除や、期限の到来していない賦払金の支払い請求をする
ことはできません。

他にも、売主は、代金の支払い額が3割を超えるまでに、買主へ所有権移転登記を履行
しなければならないという規定もあります。
現在は、現金一括購入以外では、住宅ローンを使用する方がほとんどですから、
実際の業務の中で、割賦販売は殆んど行なわれていません。当社でも創業から今まで
一度も割賦販売に遭遇した事はありません。

その他の事項

重要事項説明で義務化されているものは、最低限、これだけは説明して下さい!
というものです。それ以外にも、その事実を告げない事によって取引の当事者に
重大な不利益をもたらすおそれのある事項はその他の事項に記入しています。

余談ですが、約35年前は重要事項説明が義務付けられていなかったそうです。
不動産取引において色々なトラブルが発生する度に新しい法律が出来て説明事項が
追加され現在に至ります。

ちなみに年々、説明する事は増えますが、日本全体で不動産売買や賃貸による
トラブルが少なくなったという話は聞きません。説明が細かくなった分、解釈を
めぐって新たなトラブルや別の問題を生んでいる気がします。

※令和2年1月更新

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